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鶴岡計器のものづくり ~アナログメーターを支える技術~

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はじめに
以前のコラムでは、神奈川県からの出張者という視点で、庄内地方・鶴岡市の魅力についてご紹介しました。
今回はその続編として、鶴岡市にある当社電気計測器製品(アナログメーター)の主力工場である「鶴岡計器」に焦点を当てたいと思います。
鶴岡計器は、当社グループの中でも指示計器・アナログメーター製造の中核を担う工場です。現在では国内でも数少なくなったアナログメーターの部品製造から組立・調整までを一貫して行うことができる貴重な存在となっています。
本稿では、その歴史や特徴とともに、鶴岡計器ならではのものづくりについてご紹介します。

鶴岡計器の歴史
鶴岡計器は、もともと「鶴岡宝石」という名称で当社にアナログメーター部品を供給していた協力会社でした。その後、今から約57年前に当社グループの一員となり、「鶴岡計器」として新たなスタートを切りました。以来半世紀以上にわたり、計器部品の製造を通じて当社のものづくりを支えてきました。
余談ですが、現在では神奈川から鶴岡へは羽田空港から庄内空港まで約50分の直行便があり、日帰り出張も十分可能ですが、57年前のグループ化当時はそのような交通手段はなく、寝台特急や電車を乗り継ぎ、半日以上かけて現地へ向かったと聞いています。
そうした時代から半世紀以上にわたり技術を継承してきたことは、鶴岡計器の大きな財産と言えるでしょう。
鶴岡計器の大きな特徴は、アナログメーターの主要部品である指針、可動部、フレームの製造から、内機(ムーブメント)と呼ばれる半製品の組立、さらには完成品であるパネルメーターの製造までを一貫して行えることです。
特に可動部やフレームといった部品レベルから製造している企業は、現在国内には存在していません。長い歴史の中では数社存在していましたが、現在ではすべて廃業しています。こうした技術を今なお継承していることは、鶴岡計器ならではの大きな強みと言えるでしょう。


鶴岡計器の特徴
鶴岡計器には現在約60名の従業員が在籍しています。
その中でも特徴的なのが、女性従業員の割合の高さです。全体の約9割が女性であり、製造業としては特徴的な職場です。年齢構成も20代から60代まで幅広く、長年勤務しているベテラン社員と若手社員が共に活躍しています。
アナログメーターの製造には、細かな部品を扱う繊細な作業が数多くあります。わずかな傷や変形が品質に影響する工程もあり、作業には高い集中力と丁寧さが求められます。鶴岡計器では、こうした製造現場で長年培われてきた技能が、ベテランから若手へと受け継がれています。
工場はJR鶴岡駅から徒歩約7分という利便性の高い場所に位置しており、エスモールという商業施設にも隣接しています。地域に根差した工場として、多くの社員が長く働き続けています。
現在の生産品目の約9割は計器製品ですが、近年はその高い組立技術を活かし、EMS(受託製造)製品やセンサー組立、自社製品であるデータロガーの組立なども行っています。アナログメーターで培った技術が、新たな分野にも活かされ始めています。


アナログメーターを支える技術
アナログメーターは一見シンプルな製品に見えますが、実際には非常に多くの精密部品で構成されています。鶴岡計器のものづくりを支える技術として、大きく3つのポイントがあります。

微細なはんだ付け
内機(ムーブメント)の組立工程では、「ヘアスプリング」と呼ばれる渦巻き状の極細ばねを本体へ接合する工程があります。
この作業では内端はんだ付け、外端はんだ付けと呼ばれる工程を行いますが、ヘアスプリングは非常に細く柔らかいため、わずかな力加減の違いでも品質に影響します。そのため、手先が器用な方でも習得には12年程度かかると言われる難易度の高い作業です。

精密組立
アナログメーターは数多くの小さな部品によって構成されています。
以前のコラムでもご紹介した「ピボット」のような微細部品を扱いながら、一つひとつ工程順に組み上げていきます。
部品は非常に小さく、メーターの精度に影響を与えるため、わずかな傷や変形も許されません。そのため、作業者には高い集中力と繊細な作業技術が求められます。

調整工程
組み立てたら終わりではないのがアナログメーターの難しいところです。
内機の製造工程では、各メーターが規格通りの性能を発揮するよう「バランス調整・感度調整」を行います。
部品にはどうしてもわずかなばらつきがあります。そのため、組み立てた後に個々の特性を見ながら微調整を行い、性能を合わせ込んでいきます。
この工程には長年の経験による感覚やノウハウも必要となり、まさに職人技と言える作業です。アナログメーターはデジタル機器とは異なり、人の手による調整技術が今なお重要な役割を果たしています。

 


品質へのこだわり
鶴岡計器のもう一つの強みが品質です。
藤田電機グループ全体ではISO9001ISO14001を取得しておりますが、鶴岡計器も同様にこれらの認証を取得しています。
私自身、年に数回工場を訪れていますが、訪問するたびに5S活動のレベルの高さには感心させられます。工場内は非常に整理整頓されており、帳票類の記入や管理、在庫管理も徹底されています。
また、アナログメーターの製造では微細なゴミや異物が品質に大きく影響します。
例えば、指針の動きを妨げる「ひっかかり」と呼ばれる不具合は、わずかな異物が原因で発生することがあります。こうした不良を防ぐため、鶴岡計器では簡易クリーンルーム環境を整備し、空気の流れにも配慮することで、異物混入防止に力を入れています。長年培われた技能と徹底した品質管理が、高い品質を支えています。

おわりに
近年、指示計器・アナログメーターを部品レベルから製造できる企業は国内でも非常に少なくなっています。その中で鶴岡計器は、半世紀以上にわたり技術を継承しながら、今なお高品質な製品を製造し続けています。
そして、その技術はアナログメーターだけでなく、EMS製品やセンサー製品など新たな分野にも活かされています。
前回ご紹介したように、鶴岡は人や食の魅力にあふれた町ですが、その魅力の一つに、こうした高い技術力を持つものづくり企業の存在もあると私は感じています。
鶴岡は現在、Spiber(スパイバー)に代表される最先端ベンチャー企業が生まれる一方で、鶴岡計器のように100年以上使われ続けてきたアナログメーターを支える技術を今なお継承している企業もあります。先端技術と伝統技術が共存する、産業面でも非常に魅力的な街だと感じています。

指示計器(アナログメーター)製品については、部品が手に入らなくなった、製造先が廃業してしまったといったお困りごとにも対応できる場合があります。まずはお気軽にご相談いただければと思います。
また、鶴岡計器ではアナログメーター製造で培った高い組立技術を活かし、受託製造(EMS)や組立外注にも対応しています。協力工場をお探しの際は、こちらもぜひご相談ください。

今後も鶴岡計器の技術やものづくりの魅力について、少しずつご紹介していきたいと思います。

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