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すべてはアナログメーターから始まった -藤田電機の原点-
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-はじめに-
藤田電機製作所は現在、「部品」「製品」「工程」という3つの事業領域で、計8つの事業を展開する企業です。精密部品、計測器、プレス加工、表面処理(めっき)、組立加工など、複数の分野にまたがって事業を行っています。
そのため、お客様からはしばしば「藤田電機さんはいろいろやっているけれど、結局何の会社なの?よく分からない。」といったご質問をいただくことがあります。
確かに、例えば光学機器部品でお付き合いのあるお客様から見れば、プレス加工や表面処理(めっき)といった分野は馴染みが薄く、どのような関係があるのか分かりにくいかもしれません。さらに、データロガーや組立加工なども加わると、全体像がより見えにくくなるのも無理はありません。
しかし、当社の事業には共通する“原点”があります。それが アナログメーター(電気計測器)部品の製造 です。
本コラムでは、このアナログメーターを手がかりに、藤田電機製作所のものづくりの原点をご紹介します。当社としても、自社の特長や強みが十分に外部の方へ伝わりきっていないのではないかという課題意識を持っています。そこで、その背景にある“原点”に立ち返ることで、当社のものづくりの本質をより分かりやすくお伝えできればと考えています。
-藤田電機の原点:アナログメーター部品から始まったものづくり-
藤田電機製作所のものづくりは、アナログメーター部品の製造から始まりました。日本で最初にアナログメーターを製造した企業は、現在の横河電機株式会社と言われています。今から100年以上前のことです。当社の創業者はこの横河電機に勤務しており、その後独立し、1929年(昭和4年)に藤田電機製作所を創業しました。そして、アナログメーター・計器部品の製造を開始したことが、現在の事業の出発点となっています。当初は横河電機向けの部品製造・販売が中心でした。アナログメーター部品の製造には、精密部品加工(切削)、プレス加工、表面処理(めっき)、組立加工といった多岐にわたる技術が必要になります。当初は外注業者も活用していましたが、「より高い品質の部品をタイムリーに提供するためには、加工から組立まで一貫して手掛けるべき」という経営判断のもと、これらの工程を自社で担う体制を構築していきました。
この“一気通貫”のものづくりこそが、現在の当社の強みの原点となっています。
-デジタルの時代に残るアナログ計器-
現在、私たちの身の回りにはデジタル表示の機器があふれています。スマートフォンや計測器をはじめ、多くの情報は数値として正確に表示される時代です。しかしその一方で、工場設備、発電所、船舶、航空機、鉄道、各種計測機器、高級オーディオ、放送機器といった現場では、今でもアナログメーターが使われ続けています。一見すると古い技術に見えるアナログメーターが、なぜ現在でも必要とされているのでしょうか。
■アナログメーターの強み-
①瞬時に状態が分かる視認性
デジタル表示は正確な数値を示しますが、数値が安定するまでにわずかなタイムラグがあります。一方でアナログメーターは
・上がっている
・下がっている
・異常な位置にある
といった状態変化を直感的に把握できるという特徴があります。
現場では、数値の正確さ以上に「異常の兆候を瞬時に察知できること」が重要になる場面も多く、「直感的に分かるので使いやすい」という声を多くいただいています。
② 信頼性という価値
アナログメーターは、
・電源不要で直接計測できる
・シンプルな構造
・高い耐久性
といった特徴を持っています。
そのため、発電設備やインフラ、防衛関連など、停止が許されない分野や、電源供給が難しい屋外環境において現在も広く採用されています。その高い耐久性ゆえに、実際に30年、40年と使い続けられているケースも珍しくありません。
③ 実は高度な精密技術
一見シンプルに見えるアナログメーターですが、その内部にはピボット※、トートバンド(スパンバンド)、コイル枠、ヨーク、ヘアスプリング、受石といった専用の精密部品が組み込まれています。
これらには、ミクロン単位の加工精度、安定した磁気特性、長期信頼性といった要素が求められます。
さらに、これらの部品を組み上げてアナログメーターの素子(当社では「内機」、海外では「ムーブメント(Movement)」と呼びます)を構成する工程には、高度な技能が必要となります。この工程では、微細なはんだ付けや部品のわずかな調整など、職人の経験や感覚に依存する部分も多く含まれています。こうした技能の習得には長い時間を要するため、人材育成は大きな課題である一方で、高い参入障壁にもなっています。
なお、当社においてアナログメーターの素子(内機・ムーブメント)の組立工程を担う鶴岡計器株式会社(山形県鶴岡市)には、このような高度な技能を持つ作業者が多数在籍しており、当社の大きな強みとなっています。また、アナログメーターの組立にとどまらず、その高い技能を活かし、近年では受託製造(EMS)における組立業務のご依頼も多数いただいております。近年のデジタル製品は、いわゆるモジュール型の製造が主流です。一方、自動車産業などに代表される「すり合わせ型」のものづくりは、細かな調整を行いながら性能を引き出していく日本の得意分野です。アナログメーターはまさにこの領域に属する製品と考えています。こうした背景もあり、10年ほど前までは国内にも複数のアナログメーター部品の製造企業が存在していましたが、現在国内では当社のみがアナログメーター部品の製造を継続しています。
-アナログメーターで培った技術を他分野へ-
当社は、このアナログメーターの製造を通じて多くの技術を蓄積してきました。一方で、計測の世界においてもデジタル化の流れは加速しており、この変化は避けることができません。こうした環境の中で、当社は「培った技術を他分野へ展開する」という選択をしました。つまり、プレス加工、切削加工、表面処理(めっき)、組立加工といった高い品質基準の製造ノウハウを活かし、アナログメーター以外の分野へと展開していくというものです。
例えば、切削ではミクロン単位で精度を管理する高品質部品の加工、組立では微細なはんだ付けや精密部品の組立など、さまざまな電子機器分野に対応しています。
こうして当社は、アナログメーターで培った技術を基盤に事業領域を広げてきました。
-おわりに-
藤田電機製作所は現在、「部品」「製品」「工程」という3つの領域で、8つの事業を展開しています。しかし、その原点は、すべてアナログメーター部品のものづくりにあります。小さな精密部品から始まった技術の積み重ねが、現在の当社の強みを支えています。当社では、切削・プレス・めっき・組立といった各工程単体でのご提案に加え、これらを一気通貫で提供することも可能です。単体でのご依頼から、複数工程の組み合わせ、一気通貫での対応まで、お客様のご要望に応じて柔軟に対応しています。一気通貫での製造は、単に工程をまとめるという意味ではありません。各工程間の調整や品質のすり合わせを社内で完結できるため、品質の安定化やリードタイムの短縮にもつながります。
当社は今後も、お客様の課題に対して多角的に価値を提供できる存在でありたいと考えています。ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。


